あらゆるビジネスは独自の方法で機能しているため、皆にとって唯一の"ベスト"なERPというものは存在しません。しかし貴社にとっての最適なERPが間違いなく存在します。ERP導入前に以下の5つのポイントを確認しておきましょう。
1. ERPとは何か、どのように機能するか
ERPを導入する前に、ERPとは何か、ERP導入が何を意味するのかを知る必要があります。ERPとは”エンタープライズ・リソース・プランニング(Enterprise Resource Planning)”の略称で、財務や人事(HR)など企業の中核業務と、販売、製造、マーケティングなど他の業務のワークフローを一元管理するプラットフォームです。これらの業務を全て同じデータベースで管理する最大のメリットは、モジュール間でリアルタイムにデータを共有し、リソースの利用を最適化できることです。
小売業や卸売業であれば、ERPは迅速に取引を成立させ、顧客との健全な関係を維持するのに役立つはずです。財務においては、ERPは素早く決算を行い、データ入力やクロスチェックの時間を節約することができます。製造業において、ERPは、材料所要量計画(MRP)、製造実行システム(MES)、製品ライフサイクル管理(PLM)、品質管理、およびメンテナンスを一元化します。中小企業経営者については、上記全てが当てはまるでしょう。
ERP導入に必要な5つのステップと、各ステップに費やすべき推奨時間は以下の通りです。
- ROI分析: このプロセスには3から50日程度かかります。導入期間の10%としましょう。この段階で、正確な計画と予算を立て、来るべき変化に備えてチームを準備する必要があります。
- プロジェクト開始: 5%程度の時間を割きます。この段階で、プロジェクト計画を最終決定し、チームに新システムのオンボーディングを行います。
- 実装: 時間の約80%を費やして、 システム構成、データ移行、特定の開発、検証、エンドユーザトレーニングを行います。いかに複雑であろうと、プロジェクトは常に前進あるのみです。
- 本番: ついに完了です! 最後の5%の時間がここに充てられます。データベースをテストし、チームのトレーニングが十分であることを確認します。予期せぬ事態が起きた場合でも、落胆しないように...
- 第2デプロイメント: 数ヶ月後、プロジェクトリーダーは第1段階で開始されなかった残りの開発リストを確認します。この時点で、それらを修正し、必要であれば他のカスタマイズの開発計画を始める場合もあります。
そして、ホスティングには3つのオプションがあります。
クラウドホスティング: クラウドERPは、データベースがサードパーティのサーバ上で動作することを意味します。インターネットに接続できれば、いつでもどこでもデータベースに接続できます。ユーザはサブスクリプションベースの料金プランで契約する場合が多く、クラウドERPは低コストで最大限のサービスを利用できるため、DX化を目指す中小企業に適しています。
オンプレミス: プライベートサーバー上でデータベースをホスティングすることで、インフラ、データ管理、カスタマイズ、セキュリティの柔軟性を最大限に高めることができます。このホスティングオプションは通常、社内にITチームがある、または高度な技術的知識を有する場合に推奨されます。このホスティングオプションの制限は、そのアクセス性にあり、社外のスタッフは、VPNを介して会社のデータベースにアクセスする必要があります。
ハイブリッド: ハイブリッドERPは、それら両方の混合型です。これは、顧客のニーズに基づいて、オンプレミスでビジネス業務の一部を、クラウドで残りをホストします。重要な注意点として、オフサイトのシステムがシームレスなデータフローのためにオンプレミスのものにリンクされていることを確認することです。
2階層ERPは、ハイブリッドホスティングの一例で、企業が財務など、より安全性を必要とする本社のコア業務に1つのERPをオンプレミスで採用します。そのシステムを別のERPと接続し、販売やマーケティングなどの補助業務を現地オフィスで管理します。
2. ERPでビジネスを行うべき理由
ERPによって、全ての業務を1つのプラットフォームに集約することで、データの一元化を実現し、あらゆる経営者の助けとなる多くのメリットがあります:
効率的なコラボレーション
Odooは複雑な業務処理を簡素化してくれます。短い納期で結果を手に入れたいなら、Odooは期待を裏切りません。
ビジネスが拡大するにつれ、メッセージの伝達が困難となり、サービス提供の遅れや業務量の過多など、様々な問題が発生する可能性があります
有能なERPは、データの可視性、タスクやプロジェクトに関するトレーサビリティ、そして各チームが確実な共通認識の下、プロジェクト間を自在に行き来できるよう一元化されたコミュニケーション・プラットフォームを提供しなければなりません。加えて通常、販売オーダ(SO)、購買オーダ(PO)、その他のデータ収集と入力に多くの手作業を必要とする書類を自動で生成する機能を備えています。
Odoo導入成功事例-Alumi Group:
すぐに使えるOdooソリューションで、Alumiのプロダクトオーダ効率40%向上
生産性
ERPシステム内の自動化された財務プラットフォームにより、業務をさらに合理化。間違いのリスクを減らし、財務管理全体が改善しました。
多くの人は生産性における効率と生産性を混同しています。効率とは単にタスクを早く完了させることを意味しますが、生産性は仕事の成果を拡大することで、もっと大きな影響を与えることを意味します。
リアルタイムでのデータ共有は、努力の成果を増幅させる、ERP界での常套手段です。例えば、営業担当者が販売オーダ(SO)を作成したとします。その情報は全てCRM、会計、製造・在庫の各モジュールで共有され、同じ販売に関する各チームのタスクを通知します。これにより、やり取りの時間と労力が削減され、リソース配分が改善、より多くの販売機会の創出につながるのです。
Odoo導入成功事例-The Food Bank Singapore:
Food Bank Singapore、Odooで食糧不足解消の革命を開始
柔軟な勤務形態
2020年2月までにOdooを稼働することができたことは本当に幸いでした。そのeコマース機能が、 新型コロナウィルスのパンデミック下での当社の成功の鍵となったからです。
世界がパンデミックから徐々に回復する中、ほとんどの企業がハイブリッド/リモートワークを採用しています。
こうした新常態へスムーズに移行するためには、WiFiがあればいつでもどこでも従業員が会社のポータルにアクセスできるよう、ERPによるビジネス管理が必要です。これにより、異なる地域のチーム間のシームレスなコラボレーションが促進され、国際的な事業展開の障害がひとつ取り除かれることに加え、社内の持続可能かつ健全な労働文化も促進されます。柔軟な勤務形態のメリットは2つあります: フォーブスの調査によると、リモートワーカーの71%がワークライフバランスを維持しながら、雇用主は従業員1人当たり約11,000米ドルを節約しています。
Odoo導入成功事例-Fayendra:
パンデミックにも関わらず成功を収めたFayendra
予算の最適化
Odooの統合されたアプローチで、バラバラだったプロセスが統合され、注文、配送、請求を一元化されたプラットフォームで簡単に追跡できるようになりました。
以上から、ビジネス目的に合ったERPを導入することが、なぜ予算最適化につながるのかは容易にご理解頂けるでしょう。
テクノロジーを活用すれば、企業は同じ従業員数でも簡単に収益を増やすことができます。チームがより積極的な販売戦略で顧客の数と質の向上に注力する一方、ERPシステムがその背後で製品コスト削減を念頭に最良の取引を割出す計算を行い、他のあらゆるタスクを処理するからです
Odoo導入成功事例-Al Waqia:
生産性向上: Al WaqiaがOdooで10%経費削減
3. ERPの選び方
DXはビジネスにおける大変化であり、市場に溢れるERPの中から1つを決めるのは難しく感じるかもしれません。ERPを選択する際には、事業の規模、内容、ニーズの3つを天秤にかける必要があります。以下がその理由です。
事業規模
中小企業(SME)では、ERPの拡張性と費用対効果が重要です。多くの中小企業の場合、IT部門や技術部門がないためです
中小企業にとって理想的なERPとは、高度なトレーニングなしで、ユーザが簡単に操作でき、システムを導入し、タスク管理を開始できるものでなければなりま せん。インフラ面では、手作業による業務時間を短縮するために必要不可欠なモジュールが全て用意されている必要があります。
中小企業がクラウドERPを利用する傾向があるのも、こうした理由からです。クラウドERPは、定期サブスクリプション料金を支払うことで、全て のモジュールにアクセスすることができ、開発や実装にリソースをほとんど割かずに済みます。そのため、初期費用を抑えながら、最大限の柔軟性と拡張性を享受できます。
大企業や多国籍企業(MNC)の場合は異なります
管理システムは、大量のデータとより複雑な業務を処理するために、堅牢なアーキテクチャでこれらの企業をサポートする必要があります。もうひとつ考慮すべきことは、カスタマイズの可能性です。より多くのリソースと社内に技術チームを持つ大企業ほど、ERPの機能をカスタマイズする可能性が高くなります。つまり、カスタマイズが容易なものを探しましょう!
ホスティングついては、大企業の中には、利用可能なリソースを使ってゼロからビジネス管理ソフトウェアをカスタマイズするところもあります。また、ハイブリッド型のアプローチを選択する企業もあります。つまり、中核となるオペレーションはオンプレミスで管理し、最大限のセキュリティを確保した上で、その他の部分は他のローカルソリューションに任せるという方法です。
業種
ERPを選択する際には、当然、会社のビジネスの特性を考慮に入れることも重要です。
セクターのベストプラクティスで会社の通常のワークフローの要件に対応でき、規制遵守機能が事前に設定された、業界固有のERPが必要となります。例えば、製造業者であれば、品質管理、生産計画、在庫管理モジュールを備えたシステムを探しましょう。
最も頻繁に使用するサービスプロバイダーとの統合は、ERPが貴社のビジネスに適切であるかどうかの大きな指標でもあります。例えば、オンライン小売業者であれば、eコマースモジュールと人気の支払ゲートウェイや宅配業者を統合することが必要になります。
ビジネスニーズ
システムを導入する前に、自社のビジネスを隅から隅まで評価し、必要な主要機能を特定し、優先順位をつける必要があります。
ハイブリッド勤務形態への切り替えが、ビジネス管理をデジタル化する理由であれば、より良いコミュニケーションとよりシームレスなプロジェクト管理を促進するチーム生産性アプリケーションを提供するERPでなくてはなりません。
ERPの選択時には、ビジネスの成長も考慮する必要があります。ビジネスの成長に合わせてワークフロー、ダッシュボード、レポートをカスタマイズできるプラットフォームかどうかを見極めましょう。
ERPの選択時には、ビジネスの成長も考慮する必要があります。ビジネスの成長に合わせてワークフロー、ダッシュボード、レポートをカスタマイズできるプラットフォームかどうかを見極めましょう。
4. 投資するべき時間と費用
投資するのは、時間と資金です。ビジネスにゼロからERPを実装することは高価かつ気の遠くなるような時間がかかる場合があるため、最も貴重な資産であるこれらの2つを投資する価値があるのか見極めましょう。
繰り返しになりますが、必要な時間と資金は、事業規模、プロジェクト要件、カスタマイズ、その他、それぞれ独自のビジネスニーズによって異なります。中小企業の場合、導入には最短で2カ月、あるいは1年かかることもあり、多国籍企業の場合も、完了までには少なくとも数か月から1年以上かかります。
そのため、事前に財務部と予算計画を立てる必要があります。ここでは、導入成功のためにサービスプロバイダーが推奨する、予算内で行うべきこと、および導入時間枠をご紹介します。
マネジメントの変化
- システムを運用するための適切なトレーニングがチームに提供されていますか?
- チームは、この導入の必要性およびそれにより受けられる恩恵を理解していますか?
- プロジェクトマネジャーは積極的に変化を促し、障害を取り除いていますか?
プロジェクトの完了
- 導入後の社内サポートは十分ですか?
- 新しいシステムはプロジェクト要件を満たしていますか?
- ワークフローの効率を改善し、手作業を減らすことができますか?
5. 期待するべきこと
改善の余地を模索しながら、道はその先も続いていきます。チームが新しいレガシーシステムでのタスク管理に慣れた後も、適切なERPが長期的にビジネスにもたらすものはまだまだあります。
ビジネス成長
収益、リード数、チームの生産性など、ビジネスの成長を測る方法は数多くあります。自動化され合理化されたプロセスを導入することで、プロジェクトの完了時間やリード数などにおいて、ビジネスの成長を実感できるはずです。
また、経営上層部は、アップグレードしたシステムによって自動的に生成されるリアルタイムの企業データやさまざまなレポートへのアクセスを活用し、よりタイムリーかつ重要なビジネス上の意思決定を行う必要があります。
拡張性とカスタマイズ
もしERPが全ての要件を満たし、着実な成長を遂げているのであれば、ERPの利用を最適化するためさらなる機会を探るタイミングです。
ERPは、継続的なパートナーシップを形成するために、企業と共に成長しなければなりません。柔軟かつ拡張可能なインフラストラクチャを備えた新システムは、定期的なプロダクトやバージョンのアップグレード、ソリューションプロバイダーとの新たな統合、地域固有の機能、カスタマイズの可能性を提供し、よりスムーズなオペレーション、データフロー、より高度な機能で、成長するデータベースをサポートする必要があります。
絶えず進化していくシステムを持つことの利点は数え切れません。変化するニーズを確実にサポートできるだけでなく、システムによって、新しい機能や統合を導入することで、着想を得たり、ビジネス範囲を拡大する新しい方法を発見したりすることもあります。
新しいテクノロジー
また、ERPがテクノロジー業界に遅れをとらず、人工知能(AI)、機械学習(ML)、モノのインターネット(IoT)などの新しい技術を定期的にサービスに取り入れ、チームに持続可能なサポートを提供することも重要です。
これらの新しいテクノロジーによって、ERPシステムの機能が強化され、より正確なアドバイスを提供しながら、同じ時間でより多くのデータを処理することができます。
さらに特筆すべきは、新しいテクノロジーが従業員により良いユーザ体験(UX)を提供し、生産性が向上することで、競合他社に差をつけ、より素晴らしい顧客体験を生み出すことにつながることです。
業務のデジタル化を進めている場合でも、他のERPシステムへの乗り換えを検討している場合でも、その決断はいずれも難しいものです。デモを予約して、ビジネスアドバイザーに相談し、貴社のビジネスに最適なものを詳しく分析しましょう。